研究テーマの概要

 

菅研究室では
「私達が推進してきたバルク敏感な
光電子分光による固体(主に強相関物質)の内部電子状態の研究」
軟X線吸収磁気円二色性による磁性体の電子/磁気状態の研究」
光電子顕微分光による磁性薄膜のナノスケールでの電子/磁気状態の研究」
を主に行っています。
また最近まで「
共鳴X線非弾性散乱による低次元強相関酸化物の占有/非占有電子状態の研究」も行っていました。

光電子分光とは?

 波長の短い光、あるいは紫外線やX線を固体に当てると、固体中の電子が光のエネルギーを受け取って固体の外に飛び出す「外部光電効果」という現象がおきます。この現象はアインシュタインによって1905年に解明された現象ですが、これを利用すると「固体中の電子がどれだけのエネルギーを持ち、どのような動き方をしているか」が分かります。実は固体の性質、例えば「電気を流すか流さないか」「どんな色をしているか」というのは固体中の電子の振る舞いで大部分が決まってきますので、固体中の電子の動きを知ることは大変重要になってきます。光電子分光は、外部光電効果で外に飛び出してきた電子の運動エネルギーと数を計測して固体(実は気体も可能ですが)の電子状態を調べる実験手法なのです。詳しく、あるいはもっとやさしく説明したページが(まだ建設中のページも多いですが)「光電子分光のやさしい解説」ですので、もっと知りたいかたはそちらも参照してください。

菅研における光電子分光研究の特徴

 光電子分光は日本各地だけでなく世界中で行われていますが、菅研で行う光電子分光の特徴としては

・主に強相関電子系と呼ばれる遷移金属酸化物や希土類化合物の(表面ではなく)
固体内部の電子状態を調べるべく通常よりも高いエネルギー(短い波長)あるいは極端に低いエネルギーの光を用いた光電子分光を行う

・その為に
SPring-8をはじめとする世界のシンクロトロン放射光施設に行って実験を行う

・単に試料を測定するだけでなく、新たな光電子分光の実験手法を開発し、
世界最先端の実験を行う

ということがあります。元々光電子分光は固体表面の電子状態に敏感な実験ですので固体表面の研究にもよく用いられます。しかし固体の電子状態は一般的に内部と表面で異なり、その違いは電子同士の反発(電子間クーロン相互作用)が無視できない強相関物質(高温超伝導や金属絶縁体転移、重い電子状態、マルチフェロイックといった現象を示す物質も仲間です)で顕著になります。菅研究室ではこの10年で、高エネルギー軟X線によるバルク敏感高分解能光電子分光の実現、バルク敏感軟X線光電子分光の実現といった、それまではまわりから実現性が危ぶまれていた手法を開発して、光電子分光に新潮流をもたらしました。現在より高いエネルギー光である硬X線による高分解能光電子分光も盛んになっています(菅研究室でも精力的に行っています)が、上記の菅研の研究成果はこのような流れの元になったとも言えます。もちろん今でも世界最先端の光電子分光を行い、日々成果を出しております。

 

菅研における研究の特徴その2

 上記の光電子分光が研究の中心になる一方で、菅研究室では高輝度シンクロトロン放射光を用いた「軟X線吸収の磁気円二色性」や「光電子顕微分光(PEEM)」も行い、磁性体の研究も行っています。また測定対象として磁性薄膜もあり、この場合固体内部というよりも表面に近い薄膜電子状態の研究を行います。このように、菅研究室ではシンクロトロン放射光を用いた研究が主体であり、教員や大学院生は勿論、卒業研究で配属された学部学生もシンクロトロン放射光施設に出張して実験をします。一番多い出張先はSPring-8になります。また最近では菅研で博士過程を修了し研究職についているOBだけでなく、修士過程修了で企業に就職したOBの人が就職後にシンクロトロン放射光を使った実験を行い、SPring-8でばったり再会するということもありました。


 

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