真顔でギャグを言う大阪人


 「ボケとつっこみ」が大阪人の会話で重要な要素だというのは東京でも結構浸透しているし、時にそれが過剰な思い込みにもなって「私はボケと突っ込みがうまくできないから大阪には住めない」と思い込んでしまう東京人は案外多いと思う。しかし表題に掲げた「大阪人は時に真顔でギャグ、冗談を言う」という事はあまり知られていないと思う。
 会話をしていて、ある人が突然とんでもない嘘(大げさな事が多い)やギャグを言うという現象は大阪では相当多い。その時会話相手のとるべき態度は2つある。一つはその嘘を「ボケ」と見なして「つっこむ」という態度である。この場合は「ボケとつっこみ」が完成する。仮に東京人がこのやりとりを横で聞いていれば「なるほど」と思って終わる。しかしもう一つありがちなパターンとして会話相手が悪ノリして「そうそう、それで・・・ってなるんだよね」とやはり真顔で嘘やギャグをエスカレートさせていく、というのがある。この場合は「ギャグのキャッチボール」となって、最初にギャグを言った人はさらに話を膨らませて大嘘を言い、相手もさらなる大嘘で対応し、どんどん話が脱線していく。もちろん適当な所でしめて終わるのだが。
 このような会話は東京では交わされないので、経験のない私にはなかなかできないし、多くの東京人にも難しいだろう。言ってみれば「即興のギャグ、作り話」を往復させるというこの会話はやはり経験を積まないとね。大阪の人は「東京ではそういう会話はないんですか?」と聞かれるが、確かにそういう会話をするという文化は東京にはない。で、大阪人ばかりの中に入った東京人はどうなるのか、というと「真顔で言うギャグ」を真に受けてしまうのである。私も何度「えっ、本当?」と聞き返した事か?だってまともな会話が続いているなかで突然ギャグを言われても判断ができないのである。それが大阪人には意外らしい。まあだからといって無理して練習する程の事でもないと思うが...



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