固体の最小単位は(いくつかの)原子核と電子です。電子は原子核の周りを衛星のように回っているイメージがよくもたれますが、固体結晶になった時は必ずしもそうなりません。確かに大部分は原子核の近くに局在し、上記イメージが比較的妥当なのですが、固体中でエネルギーの一番高い電子や、となりの原子・イオンの電子とボンドを作る電子の場合は固体中やイオン間をある規則に従って動き回ると考えたほうが妥当です。この"ある規則"は結晶構造に左右されますが、それだけでは決まらず物質・組成によって様々です。そしてボンドを作る電子(=固体中でエネルギーの高い電子=価電子)の動き方・振舞いこそが物質の見せる現象(外見・電気伝導・磁性等)の原因の大部分になります。ですから"規則"を知る事即ち固体の電子状態を調べる事が物質の性質を知る上で重要な役割を果たす訳です。