ここでようやく光電子分光の説明に入りますが、前置きが長かったのは菅研で測定する物質の多くが強相関物質であり、それらの電子状態を解明する事を目的に研究する事が多い為です。光電子分光では一定の波長λ(=光速c/振動数ν)を持つ光を物質に当てます。この時の光を粒子(光子)として考えると1光子はhν(hはプランク定数)のエネルギーを持ちます。結合エネルギーEBの電子がこの光子を吸収すると非常に高いエネルギーを得る事になり、結果として光電子として試料の外に飛び出す事があります。これを外部光電効果と言います。光電子分光は出てきた光電子のエネルギー分布(ある運動エネルギーEKの電子が何個飛んできたか)=光電子スペクトルを測定する手法です。エネルギー保存則から、観測した光電子のEKはEK=hν-EBなので光電子分光で固体中の電子の振舞いが分かるのです。


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大阪大学 関山研究室